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NP Walker

2025.01

ベジファーストの誤解と本当に効果のある食べ方

ベジファースト①

2024年10月、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」から、ベジファーストに関する記述が削除されたというニュースが話題になりました。

この報道を受けて、世間では「ベジファーストは効果がないのでは?」といった声も上がっています。

今回は、ベジファーストに関する誤解と正しい理解、そして効果的な取り入れ方について解説します。

ベジファースト②

[b1]ベジファーストとは?「食事は野菜から食べるだけ!」のシンプルな食事法[/b1]

ベジファーストとは、食事の際に野菜を最初に食べることで血糖値の急上昇を抑え、からだへの負担を軽減することを目的とした食事法です。

食物繊維が豊富な野菜を先に食べると、糖質や脂質の吸収が緩やかになることが研究で示されています。この効果が、肥満や生活習慣病の予防に役立つと期待されているのです。

さらに、野菜を先に食べることで満腹感を得られやすくなり、主菜や炭水化物の過剰摂取を抑えることにもつながります。

しかし、この手軽さが強調されすぎた結果、誤解が生まれていることも事実です。正しく理解することが重要です。

ベジファースト③

[b1]なぜベジファーストが注目されるようになったのか?[/b1]

ベジファーストが注目されるようになった背景には、血糖値管理とダイエット効果への期待があります。

食後の血糖値が急上昇すると、からだが脂肪をため込みやすくなることが知られていますが、食物繊維を先に摂取することでそのリスクを軽減できます。

例えば、糖尿病患者を対象とした研究では、野菜を先に食べることで食後血糖値が20~30%抑えられたという結果が出ています。このような科学的根拠に基づき、血糖値のコントロールが注目されました。

さらに、「食べる順番を変えるだけ」という手軽さが広まり、特にダイエットにおいては、食事制限や運動と比べて取り組みやすい方法として支持されるようになりました。

ベジファースト④

[b1]手軽さが後押ししたことで生まれたベジファーストへの誤解[/b1]

ベジファーストは手軽に実践できる食事法ですが、そのシンプルさが誤解を招く原因にもなっています。以下は代表的な誤解です。

[b2]単純に野菜を先に食べるだけでよいという誤解[/b2]
研究では、野菜サラダを食べた後に10分間時間を置き、その後に米飯を摂取することで血糖値が抑制される効果が確認されています。また、そしゃく回数(1口につき20回)や食事時間(15分間)など、厳密な条件が効果に影響していることが考えられます。これらの手順を省略した「野菜を先に食べるだけ」という単純化された方法では、同じ効果は得られない場合があります。

[b2]野菜を先に食べればあとは好きに食べてもよいという誤解[/b2]
野菜を最初に食べても、食事の総エネルギーが高ければ肥満を防ぐことはできません。ベジファーストはあくまで食後血糖値の急上昇を抑えるための方法であり、ダイエット効果を保証するものではありません。

[b2]健康な人にも必ず効果があるという誤解[/b2]
健康な人の場合、血糖値コントロール機能が正常に働いているため、ベジファーストの効果が明確に現れないこともあります。健康な人が効果を実感するには、食事全体のバランスや運動など、他の要素も組み合わせる必要があります。

ベジファースト⑤

[b1]ベジファーストを正しく理解して賢く活用[/b1]

こうした誤解が広まったことで、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」からベジファーストの記述が削除された可能性があります。

しかし、科学的に立証された「食事の最初に野菜を食べると血糖値の上昇が抑えられる」という事実には変わりありません。

また、野菜を最初に摂取することで満腹感を得られやすくなり、食べ過ぎを防ぐ効果もあります。これにより、野菜を意識的に摂取する人が増えたことは、ベジファーストの普及がもたらした成果といえます。

ただし、ダイエットを意識する場合、食事全体の量やバランスを無視してはいけません。食物繊維だけでなく、たんぱく質や脂質など他の栄養素もバランスよく摂取することが重要です。

最近では、肉や魚などのたんぱく質を最初に食べることを推奨する「プロテインファースト」という考え方も注目されています。さらに、食事だけでなく、運動や睡眠といった生活習慣全般を見直すことが、健康と美容を維持する上で欠かせません。



[b2]まとめ[/b2]
健康や美容は何か一つの方法に頼るのではなく、多角的にアプローチすることが重要です。ベジファーストを賢く活用し、他の健康習慣と組み合わせることで、より効果的に健康を実現しましょう。


参考:・今井佐恵子ほか(2010)「糖尿病患者における食品の摂取順序による食後血糖上昇抑制効果」『糖尿病』2010年 53 巻 2 号 112-115一般社団法人 日本糖尿病学会/ベジファーストは本当に意味がないのか?その効果について徹底解説│【札幌市中央区】小野百合内科クリニック


文:さかい みはる

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